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癖の種類
縮毛矯正を綺麗にかけるには、まず初めに髪質、癖の種類を診断するのが一番大切です。
シンプルに癖の強さをみる美容師さんも多いかと思いますが、癖が強い=強い薬剤
こういう判断をしてしまうと、毛髪へのダメージが大きかったり、綺麗に伸びなかったり、ストレート感が強く出過ぎて不自然な硬さが出てしまうことがあります。
まずは一般的にみる癖毛の種類を上げたいと思います。
波状毛
日本人に一番多いといわれる癖の種類
大きく波打ったようなウェーブの癖。いわるゆ「うねる」毛質
雨や湿度に影響されやすい。
濡らしても癖が伸びたりしない。
縮毛
髪の毛一本一本が「縮れ」ている癖毛
細かい癖なので全体的にボリュームが出て見える
乾いていても濡れていても縮れている感じが変わらない
どちらかというと硬い髪質というよりは柔らかい髪質の場合が多い ふわふわした手触り
硬い髪質の方の場合かなりゴワゴワした手触りになる
捻転毛
髪の毛一本一本が「捻じれている」癖毛
髪の毛自体が捻じれているので手触りがよくない場合が多い
全体的に傷んで見えてしまう
連珠毛
髪の毛一本の中で太さが違う場所が数珠のような感じでつながっている癖毛
手触りがかなりゴワゴワしていて、傷んで見える
髪の毛の太さが場所によって違うので、細い部分でかなり断毛しやすい
縮毛矯正の難易度がかなり高い
かなり珍しいタイプの癖毛 あまりお見掛けしません
大まかにですが、癖毛の種類を分けると大体この4種類の癖の毛質があります。
しかし、縮毛矯正の際に見る癖毛の種類の判断はこの他にもあります。
今回は一般的なこの4種類の癖毛ではなくて、もう一つの癖のタイプの種類を書きたいと思います。
縮毛矯正の際に調べる癖の種類とは?
上記の4種類の癖の判断とは別に、毛髪内部のどの部分が癖を作ってるかの判断基準を書きたいと思います。
縮毛矯正の際に判断する癖の部分というのは、毛髪内部のたんぱく質 「コルテックス」の部分のゆがみを判断します。
この「コルテックス」というのは、髪の主成分であるケラチンたんぱく質からできており、毛髪の約85%を占めていると言われています。
このコルテックスの部分に薬剤を反応させることで、パーマやストレートなどの髪の形を変える施術ができるようになります。
縮毛矯正の時にこのコルテックスがどういう状態なのかを診断することによって、その方の癖が毛髪内部のどの部分にあるかを判断します。
「コルテックス」には2種類ありまして「パラコルテックス」と「オルトコルテックス」というものに分かれます。
癖のタイプを見極めるにはこの「パラコルテックス」と「オルトコルテックス」の分布が毛髪内部にどういった形であるか?ということを調べると、縮毛矯正における1剤の種類を決めることができます。
パラコルテックスとは?
パラコルテックスとは簡単に言うと疎水性の性質があります。
水をはじいて吸収しにくい性質ですね。
水分を吸いにくいとはつまり、膨潤しにくい性質。もっと簡単に言うと水を吸って柔らかくなりにくい性質になります。
この「パラコルテックス」の分布が多い髪質の方は比較的直毛の方が多く、水を吸いにくい性質なので雨の日や湿度の高い日でも、髪の毛が水分を含みにくいので広がったり癖がでたりすることがないわけです。
オルトコルテックスとは?
「パラコルテックス」とは逆の性質があり、親水性のたんぱく質になります。
親水性=水を吸いやすく、髪の毛が膨潤しやすい性質。つまり水を吸って柔らかくなりやすい性質があります。
この「オルトコルテックス」が癖に強く影響しやすいと言われています。
水を吸いやすいという事は雨の日や湿度の高い日に、毛髪が水分を含み、うねったり広がったりしやすくなってしまうという事です。
どうやって癖を判断するのか?
癖毛とは上記のパラコルテックスとオルトコルテックスの分布の差によるゆがみが一つの原因です。
この二種類のコルテックスの配列がきれいに整っており、分布に偏りがない髪が直毛の方の毛質になります。
この分布にばらつきがあると、毛髪内部で水分を含みやすい部分と、含みにくい部分が偏りがあるので、水分を含みやすい部分が曲がって癖毛になります。
他にも毛穴の形や遺伝的な要素があったりと、これだけで判断するわけではないですがこれも縮毛矯正をする際に判断する重要な部分となります。
この二つのコルテックスのつながりの仕方で実は髪の内部の結合の性質が変わってきます。
縮毛矯正をする際は毛髪内部の「結合」を薬剤の性質で一度切断して、真っすぐに形をつけて再結合することにより癖毛を綺麗なストレートにしていきます。
この毛髪内部の主な結合はS-S結合(シスチン結合)といわれ、これを切断して髪の内部の構造を変化させていきます。
しかし、ややこしいことにこのS-S結合はさらに二種類に分かれており、S1とS2という性質の違いがあります。
S1は親水性領域のS-S結合で、結合の周りに水素結合やイオン結合が多く、水やアルカリに影響を受けやすい性質があります。
S2は疎水性領域のS-S結合で、疎水結合が周りに多く、水やアルカリに影響受けにくい性質があります。
この二つのS-S結合の分布を見極めると、1剤に必要な還元剤(結合切る薬剤)の種類が決まってきます
さて、ではこの分布をどうやって見極めるかというと。
単純に髪を濡らしてみるとわかります。
乾いた状態から髪の毛を濡らしたときに、癖がどういう状態になるかで毛髪内部のコルテックスの偏りがある程度わかります。
●濡らしても癖が伸びない=S-S結合の歪みが主な癖の原因
〇S1結合の割合が毛髪内部で多く、S-S結合の癖が主に癖毛の原因になっている。波状毛などがこの癖の質になっていることが多い。
〇比較的薬剤が浸透しやすいS1結合が多いので親水性の還元剤を使うことで結合をしっかりと切ることができる。
●濡らすと癖が伸びる=水素結合の影響が主な癖の原因
〇S-S結合の影響による癖が少なく、水素結合の影響の癖が主な場合。
〇この場合は毛髪内部のS2結合の偏りが多く、結合切るのにS1結合に作用する親水性の還元剤だけでは結合が切り切れない場合が多い。疎水性の還元剤でS2を軟化させる事が大事。
〇毛髪内部はS1とS1がばらばらに分布しており、両方の結合をしっかりと切断することが必要。
〇疎水性の還元剤と親水性の還元剤の両方をつかったダブル還元の考え方。
〇水素結合の影響が大きいのでアイロン操作による熱処理が重要になってくる。
まとめ
大分文章が長くなってしまいましたが、縮毛矯正をする際に見極めるべき癖の種類の一つとして、形状での癖はもちろんですが、毛髪内部の癖の種類を判断するのも重要な要素になります。
縮毛矯正をする時には髪の状態を色々な面で判断しないといけないのですが、その一つとして、その方の髪の内部の癖によって使用する薬剤を調整しないといけない。というものがあります。
使用する薬剤の成分として、どういったタイプの還元剤が必要なのか判断するために、お客様の髪の結合の種類が親水性の結合が多いのか、疎水性の結合が多いのかで使用する還元剤を判断することができます。
あくまで判断材料の一つにしか過ぎないので、これだけで薬剤を決定するのは難しいですが、一つの判断基準として持っておくと癖を綺麗に伸ばせるとおもいます。
書きながらなかなかまとまらなかったので、詳しい美容師さんがみると突っ込みどころが多いかもしれませんが、美容師が縮毛矯正をする際にどういった診断をしているかお客様にも少しわかってもらえると嬉しいなとおもいます。